仮想通貨、仮想通貨FX、為替FXのトレードを始めようと検討している方々は、この3種類の違いを理解しているでしょうか?
それぞれどんな違いがあり、どれが自分に向いているのか、なかなか難しいですよね。
仮想通貨、仮想通貨FX、為替FXはよく混同されることがありますが、それぞれに独自の特徴があり、投資対象やリスクもそれぞれ異なります。
まずは、3種類の違いをしっかりと把握し、自分に合った投資方法を選ぶことが大切です。
この記事では、仮想通貨、仮想通貨FX、為替FXの各トレードの違いを比較し、それぞれの特性やリスク、投資対象について詳しく説明しています。
ぜひこの情報を参考に、ご自身に適したトレード先を見つけてください。
久住康平
ビット学園編集長。
慶応義塾大学経済学部卒業後、大手証券会社にて13年勤務。
仮想通貨歴は8年。
ビットコインガチホ勢だったが、3年前に仮想通貨FXに出会う。
得意な英語を生かし、海外の取引所の情報や仮想通貨の最新トピックを日本に広めるべく、日々メディア運営を行う。
好きな食べ物はパッタイ。嫌いな食べ物はガトーショコラ。
基本を把握しよう!仮想通貨・仮想通貨FX・為替FXとは
まず最初に、仮想通貨、仮想通貨FX、為替FXについて、基本知識をわかりやすく説明します。
仮想通貨(現物取引)とは
仮想通貨とは、ブロックチェーンという分散型データベースシステムを用いて運営されるデジタル通貨で、改ざんがほぼ不可能なため、高いセキュリティを保持しています。
仮想通貨はオンラインで取引でき、ビットコインやイーサリアム、リップルなどが主な例です。
これらの仮想通貨は直接買ったり売ったりでき、この取引を「現物取引」と言います。
現物取引は通常、仮想通貨取引所で行い、取得した仮想通貨はデジタルウォレットに保存されます。
仮想通貨FXとは
仮想通貨FXは、ビットコインなどを用いた証拠金取引で、少量の資金を担保にして価格変動に賭ける取引方法です。
この取引で、価格の上下による差額が最終的な利益または損失になります。
通常の為替FXでは法定通貨が対象ですが、仮想通貨FXでは取引対象がビットコインなどの仮想通貨になります。
仮想通貨FXでは、証拠金に対してレバレッジを利用することができ、少ない投資で大きな取引を行うことが可能です。
ただし、この方法ではリスクも増大するため、慎重に取引することが求められます。
特にビットコインなどの主要な仮想通貨を取引する場合は、その取引をビットコインFXと呼ぶこともあります。
為替FX(外国為替証拠金取引)とは
為替FXは、外国通貨を対象にした証拠金取引で、通貨価格の変動を予測してその差額から利益を目指します。
為替FXでも、レバレッジを活用して少ない資金で大きな取引を行えるのが特徴ですが、利益の可能性が高まる一方で、リスクも同様に増加します。
仮想通貨(現物)と仮想通貨FXの6つの違いを比較
次に、よく混同される次の二つのカテゴリについて、それぞれの特徴と相違点を比較しつつ説明します。
- 仮想通貨(現物)と仮想通貨FX
- 仮想通貨FXと為替FX
まず、仮想通貨(現物)と仮想通貨FXの相違点について見ていきます。
仮想通貨(現物取引) | 仮想通貨FX | |
---|---|---|
取引対象 | 仮想通貨(BTC・ETHなど) | 仮想通貨の価格変動 |
レバレッジ | ✖ | 〇 |
取引時間 | 24時間365日 | 24時間365日 |
価格変動 | 大きい | 大きい |
手数料 | 〇 | 〇 |
売りから始められる | ✖ | 〇 |
ロスカットになる | ✖ | 〇 |
税率 | 最大45%の総合課税 | 最大45%の総合課税 |
主な相違点は以下の6つです。
- 取引性質の違い
- レバレッジの有無
- 手数料の違い
- 売り(ショート)から始められる違い
- リスクの大きさ
- 自動的に決済(強制ロスカット)が発生するか
これらの点について、以下で詳細を説明します。
取引性質の違い
仮想通貨(現物取引)と仮想通貨FXでは、「取引の性質」が異なります。
現物取引では、仮想通貨を直接購入・販売するため、購入した仮想通貨は実際に自分のアカウントで保有されます。
一方、仮想通貨FXでは、仮想通貨を物理的に保有せず、あくまで価格変動を利用した取引を行います。
これは、将来売却することを前提とした権利の購入と解釈でき、そのため価格の下落を予測した「売り」からの取引も可能です。
両方の取引形式で仮想通貨の価格変動によって利益や損失が発生する点は同じですが、取引の性質には大きな違いがあります。
レバレッジの有無
現物取引では仮想通貨と法定通貨、または仮想通貨同士を単に「交換」しているため、レバレッジを使用することはできません。
対照的に、仮想通貨FXではレバレッジを利用した取引が行えます。
レバレッジは、預けた証拠金を超える金額で取引を行うことを可能にし、少ない資金で大きな取引をすることができます。
例えば、10万円を持っている場合、現物取引ではその全額でビットコインを購入できるのみですが、仮想通貨FXではその10万円に2倍のレバレッジを適用することで、20万円分の取引が可能です。
つまり、レバレッジを使用することにより、資金の有効活用が可能となり、結果として大きな利益を得るチャンスが増えるということです。
ただし、これには損失のリスクが伴うため、リスク管理を怠らないことが重要ですので、覚えておきましょう。
手数料の違い
現物取引の場合、取引時にのみ手数料がかかります。
この手数料は取引所によって異なり、GMOコインやDMM Bitcoinなど一部の取引所では無料で提供されています(ただしDMM BitcoinはBitMatch取引手数料が例外)。
一方で、仮想通貨FXでは以下のような手数料が適用されます。
手数料の種類 | 特徴 |
---|---|
取引による手数料 | ポジションを開く際と決済時の2回発生 |
レバレッジ手数料 | 日をまたいでポジションを保有する際に発生 |
スプレッド | 買値と売値の差額で実質の手数料 |
資金調達手数料 | 価格乖離を収束させるためのスワップ手数料 |
上記の手数料は、取引所の場所(国内または海外)によって変動します。
取引を行う際には、手数料を考慮に入れた上で、適切な戦略を立てることが必要です。
売り(ショート)から始められる違い
現物取引では仮想通貨を直接交換するため、保有していない仮想通貨を売ることは不可能です。
しかし、仮想通貨FXでは売り注文(ショート)から取引を開始することができ、価格が下がる状況でも利益を目指すことが可能です。
リスクの大きさ
仮想通貨は価格変動が非常に大きいため、大幅な価格の上昇や下落が頻繁にあります。
これにより、現物取引にも相応のリスクが伴います。
仮想通貨FXではレバレッジを利用することでリスクが増えます。
価格変動によるロスカットのリスクもあるため、特に初心者はまず現物取引から始めることをおすすめします。
自動的に決済(強制ロスカット)が発生するか
現物取引では、保有する仮想通貨の価格が大きく下落しても、自動的にポジションが解消されることはありません。
ロスカットは損失を防ぐための自動決済システムです。
例えば、仮想通貨の価格が下落した場合でも、価格がマイナスになることはなく、価格が再び上昇するのを待つことができます。
一方で、仮想通貨FXではレバレッジを使用した取引を行うため、ポジションが逆行した場合、証拠金が設定額を下回った時点で自動的にポジションが解消されます。
強制ロスカットは重大な損失を避けるために設けられていますが、一度発動するとその時点での損失が確定します。
仮想通貨FXを利用する際は、この点を考慮して慎重に資金管理を行う必要があります。
仮想通貨FXと為替FXの5つの違いを比較
次に、よく混同される仮想通貨FXと為替FXの違いについて詳しく解説します。
仮想通貨FX | 為替FX | |
---|---|---|
取引対象 | 仮想通貨の価格変動 | 法定通貨などの価格変動 |
レバレッジ | 〇(国内は2倍まで) | 〇(国内は25倍まで) |
取引時間 | 24時間365日 | 週5日24時間(土日祝は取引停止) |
価格変動 | 大きい | 比較的小さい |
手数料 | 〇 | 〇 |
売りから始められる | 〇 | 〇 |
ロスカットになる | 〇 | 〇 |
税率 | 最大45%の総合課税 | 20%の申告分離課税 |
両者は証拠金取引の形態を取りますが、以下の点で相違が見られます。
- 取引対象の違い
- レバレッジの違い
- 取引時間の違い
- 価格変動の違い
- 税金の違い
取引対象の違い
仮想通貨FXでは、ビットコインやイーサリアムを含む多様な仮想通貨が取引対象です。
一方、為替FXでは、ドルやユーロなどの法定通貨ペアが取引対象とされます。
このように、仮想通貨FXと為替FXは、取引される対象が異なるため、理解しておくことが重要です。
レバレッジの違い
仮想通貨FXと為替FXでは、使用できるレバレッジの上限が異なります。
仮想通貨FX | 為替FX | |
---|---|---|
国内のレバレッジ上限 | 2倍 | 25倍 |
レバレッジの上限は、国内証券会社や取引所を使用した場合のもので、為替FXの方がより高いレバレッジを利用できます。
また、仮想通貨FXと為替FXは、海外の証券会社や取引所を利用することでさらに高いレバレッジを利用でき、仮想通貨FXでは最大100倍、為替FXでは1000倍以上のレバレッジ取引が可能です。
ただし、高いレバレッジは大きな利益の可能性を持つ一方で、資金を失うリスクも増加するため、レバレッジ取引においては慎重なリスク管理が求められます。
取引時間の違い
仮想通貨FXでは年中無休で24時間取引が可能であり、休日や夜間も市場が開いています。
市場が閉じることは基本的にありません。
一方、為替FXの取引時間は、主要金融市場の営業時間に合わせて設定されており、夏時間は月曜の朝6時から土曜の朝5時まで、冬時間は月曜の朝7時から土曜の朝6時までです。
週末は市場が閉まりますが、祝日には取引が可能です。
仮想通貨FXおよび為替FXでは、ロンドン市場とニューヨーク市場の営業時間が重なる夜の19時から深夜2時までに価格の大きな変動が見られることが多いです。
この時間帯に短期取引を行うことで利益を狙うことが一般的です。
価格変動の違い
仮想通貨FXと為替FXでは、価格変動の程度(ボラティリティ)に差があります。
仮想通貨の市場は比較的小さく、価格の変動が非常に大きいことが特徴です。
一日で10%以上、時には20%以上の価格変動が起こることもあります。
一方で、為替FXでは価格変動が比較的穏やかで、通常、一日の価格変動率は数%以下です。
しかし、国際的な政治経済の動向や経済指標の発表によっては、為替FXでも価格が大きく変動することがあります。
特に米国の金融政策の発表時には、注目が必要です。
税金の違い
仮想通貨FXと為替FXは、20万円を超える取引利益が出た場合に課税されます。
これは仮想通貨の現物取引にも当てはまります。
ただし、仮想通貨FXでの利益は「総合課税」の対象となり、最高55%(所得税最高45%+住民税10%)の税率が適用されます。
為替FXでは利益が「分離課税」され、一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税率が適用されます。
また、為替FXの損失は3年間繰り越して控除することが可能です。
現物取引・仮想通貨FX・為替FXならどれがおすすめ?
この章では、現物取引、仮想通貨FX、為替FXの中からどれを選ぶべきかを説明します。
各取引形式がどのような投資家に適しているかを解説するので、参考にしてください。
仮想通貨(現物取引) | 仮想通貨FX | 為替FX | |
---|---|---|---|
取引対象 | 仮想通貨(BTC・ETHなど) | 仮想通貨の価格変動 | 法定通貨などの価格変動 |
レバレッジ | ✖ | 〇(国内は2倍まで) | 〇(国内は25倍まで) |
取引時間 | 24時間365日 | 24時間365日 | 週5日24時間(土日祝は取引停止) |
価格変動 | 大きい | 大きい | 比較的小さい |
手数料 | 〇 | 〇 | 〇 |
売りから始められる | ✖ | 〇 | 〇 |
ロスカットになる | ✖ | 〇 | 〇 |
税率 | 最大45%の総合課税 | 最大45%の総合課税 | 20%の申告分離課税 |
仮想通貨(現物取引)はこんな人におすすめ
仮想通貨(現物取引)は、「仮想通貨を直接保有し、長期にわたる価格上昇を待ちたい」人に適しています。
価格の短期変動に動じることなく、ゆっくりと価格上昇を期待する方や、仮想通貨投資を始めたばかりの方に特におすすめです。
仮想通貨FXはこんな人におすすめ
仮想通貨FXは、「短期間で価格変動から利益を得たい」と考える人に最適です。
少額の資金で証拠金にレバレッジを利用することにより、大規模な取引が可能です。
ただし、レバレッジを利用することで高い収益が期待できる一方、リスクも高まります。
仮想通貨の価格変動が激しいため、仮想通貨FXを行う際は、適切なリスク管理を行うことが重要です。
為替FX(外国為替証拠金取引)はこんな人におすすめ
為替FXは、「法定通貨の価格変動を活用して利益を出したい」人に適しています。
為替FXでは、仮想通貨FXと同じようにレバレッジを利用した取引ができますが、為替FXではさらに高いレバレッジを使用することができます。
また、為替FXの利益には20%の申告分離課税が適用されるため、現物取引や仮想通貨FXと比較して税制上有利です。
しかし、高いレバレッジを使用することでリスクも増えるため、為替FXを行う際にはしっかりとしたリスク管理が必要です。
まとめ
この記事では、現物取引、仮想通貨FX、為替FXの各取引形式の違いを説明しました。
仮想通貨(現物取引) | 仮想通貨FX | 為替FX | |
---|---|---|---|
取引対象 | 仮想通貨(BTC・ETHなど) | 仮想通貨の価格変動 | 法定通貨などの価格変動 |
レバレッジ | ✖ | 〇(国内は2倍まで) | 〇(国内は25倍まで) |
取引時間 | 24時間365日 | 24時間365日 | 週5日24時間(土日祝は取引停止) |
価格変動 | 大きい | 大きい | 比較的小さい |
手数料 | 〇 | 〇 | 〇 |
売りから始められる | ✖ | 〇 | 〇 |
ロスカットになる | ✖ | 〇 | 〇 |
税率 | 最大45%の総合課税 | 最大45%の総合課税 | 20%の申告分離課税 |
各取引形式は異なる特性を持っており、どれを選ぶかは、投資の目的、リスク許容度、投資期間によって異なります。
これらの違いを理解した上で、自分のトレードスタイルや目的に合った最適な取引先を選んでくださいね。
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